「ワカメを食べると髪の毛が増える」「毛を抜くといつか生えなくなる」など、毛にまつわる迷信は世の中にたくさんあります。
しかし、これらの迷信には科学的根拠が全くない情報もあるため、信じてしまわないように注意しましょう。
毛にまつわる10個の迷信について、人に話したくなる情報をウソかホントか理由も含めて紹介。それではチェックしていきましょう。
「毛を剃ると濃くなる」という迷信はウソです。毛を剃るだけで量や太さが変わることはありません。
毛は円錐のように先が細く、根元が太い構造のため、シェービングすると表面に現れる毛の断面積が広くなり、濃く見えます。
しかし、実際に毛が濃くなっているわけではありません。言われてみれば、毛を剃ったら濃くなるのであれば、回数を重ねるごとに濃くなっていってしまいますね。
「秋になったら抜け毛が増える」という迷信はホントです。
2017年に、医学雑誌 British Journal of Dermatologyで発表された研究によると、全世界で夏と秋に「hair loss」(抜け毛)の検索数が増えることが分かっています。
つまり、夏と秋は抜け毛に悩んで検索する人が多くなるという結果でした。たかが検索結果ですが、世界中の人が同じ時期に同じ悩みを検索しているということで、ホントと言えるでしょう。
秋に抜け毛が増える理由として、秋が動物の換毛期であるという遺伝子情報が人間にも残っているとする説や、夏の紫外線や冷房によるダメージが頭皮に蓄積されるためとする説などがありますが、明確な理由は発見されていません。
秋に抜け毛が増える場合は一時的なことが多く、基本的には抜けた分が再び生えてくるため安心してください。
「ワカメや昆布などの海藻類を食べると髪の毛が増える」という迷信はウソです。
海藻類が髪の毛によいと言われている理由は、亜鉛などのミネラルやビタミンが比較的多く含まれているからです。これらの栄養素は、髪の細胞分裂を活性化させ髪の主成分であるケラチンの生成をサポートします。
しかし、海藻類を食べただけで、髪の毛が増えたり早く伸びたりすることはありません。髪の毛の成長には、ミネラルやビタミン以外にもタンパク質などさまざまな栄養素が必要です。
海藻類を含め、肉や魚、野菜などをバランスよく食べることで、髪の毛の成長をサポートする効果が期待できます。
「髪の毛やヒゲは眠っている間に伸びる」という迷信は半分ウソ、半分ホントと言われています。
髪の毛が一番伸びる時間帯については諸説あり「22時~2時」「3時~9時」「10時~11時」の3つが有力です。
ヒゲが一番伸びる時間帯は「6時~10時」といわれています。眠っている間も少しは伸びるものの、一番伸びるわけではありません。
ヒゲが最も伸びる時間帯が6時~10時であることを考慮すると、最も効率的にヒゲを剃れる時間は10時以降といえます。
「体毛が濃い人はハゲやすい」という迷信はウソです。体毛の濃さと頭部の薄毛は因果関係がありません。
どちらも男性ホルモンが作用していますが、種類が異なります。
体毛の濃さに影響する男性ホルモンはテストステロンです。
一方、頭部の薄毛に影響する男性ホルモンはジヒドロテストステロン(DHT)です。DHTは、AGA(男性ホルモン型脱毛症)の原因となるため「薄毛ホルモン」と呼ばれることもあります。
DHTはテストステロンが変化したものであるため、テストステロンの分泌量が多い方は、DHTを生成しやすい体質といえます。
ただし、薄毛になるかどうかは遺伝による影響や個人差が大きく、テストステロンが多いからといって必ずしも薄毛になるとは限りません。
体毛の濃さも薄毛も男性ホルモンが関わっているため「体毛が濃いとハゲる」という噂が広まったのかもしれません。
「毛の濃さは遺伝で決まる」という迷信はホントです。
2018年に発表された東京女子医科大学を中心としたグループの研究で、遺伝と毛深さの因果関係が明らかになりました。
その研究によると、ある遺伝子に含まれる塩基配列が「グアニン」の人と「アデニン」の人では、「グアニン」の人の方が毛深い傾向にあるとされています。
両親や祖父母が毛深い場合、子どもや孫に遺伝的傾向が引き継がれ、毛深くなる可能性があります。
「毛を抜くといつか生えなくなる」という迷信はウソです。
毛を抜いても、毛を生み出す「毛母細胞」はそのまま残るため、毛母細胞がある限り毛は生えてきます。
なお、毛を抜くと毛の成長サイクル(毛周期)が乱れることがあります。そのため、1本1本の毛が生えるスピードが変わり、一時的に毛が減ったように感じることはあるでしょう。
しかし、毛が生えるスピードが変わっただけで全体の毛量は変わっていません。
テレビやSNSなどでよく見る「毛根が死ぬ」という表現から「毛を抜くと(毛根が死ぬため)いつか生えなくなる」という迷信が広まったのでしょう。
「白髪を抜くと白髪が増えるので抜かないほうがいい」という迷信はウソです。
30代~40代になり、徐々に白髪が増え始める時期には「気になる白髪を抜いたら、別の白髪を発見した」ということがよく起こります。
このような状況が頻発すると、白髪を抜くと白髪が増えると勘違いしてしまいますが、白髪を抜くことと増えることの直接的な因果関係はありません。
ただし、白髪を抜くと頭皮や毛根にダメージを与えるため控えましょう。毛の成長サイクル(毛周期)を乱し、髪の毛がなかなか生えてこなくなる可能性もあります。
白髪を見つけた場合は根元付近でカットするか部分染めがおすすめです。
「脇毛のケアをすると脇汗が増える」という迷信はウソです。脇汗が出る「アポクリン汗腺」と脇毛のケアに因果関係はありません。
脇汗が増えたと感じる理由は、脇毛がなくなることで汗が流れやすくなったからと言われています。これまで毛に付着していた汗が直接洋服に付くようになり「脇汗が増えた」と勘違いしてしまうのかもしれません。
なお、脇毛のケアをしたあとは脇に意識がいきやすくなります。このことも脇汗が増えたと感じる要因のひとつです。
また、レーザーや光によるムダ毛ケアの直後、一時的に汗が増える「脱毛後多汗症」という症状がありますが、医学的根拠はなく、脇に意識がいきやすくなったことが要因ではないかと考えられています。
「毛を抜く行為はあまりよくない」という迷信はホントです。
毛を抜く行為には以下のリスクがあります。
リスク | 特徴 |
---|---|
埋没毛 | 毛が皮膚の下で成長している状態 |
毛嚢炎 | 毛穴やその周辺が炎症を起こしている状態 |
色素沈着 | ターンオーバーが乱れた結果、メラニン色素が皮膚内に残り、肌が黒ずんで見える状態 |
綺麗になるために毛を抜いているはずが、上記の肌トラブルをまねき、見た目が悪くなることがあります。
毛抜きによるムダ毛ケアは極力控えましょう。