膝が痛い

膝が痛い原因とは?
対処法と予防法を解説
膝を曲げ伸ばしするときや階段を上り下りするとき、歩くときなど、
普段の生活で膝に痛みを感じている人は多いのではないでしょうか。
本記事では、膝が痛い原因とその対処法について解説していきます。
膝の痛みの予防につながるストレッチやトレーニングも紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
1 膝が痛いときの症状とは
膝が痛いときの症状は人によって異なりますが、特に膝を曲げたときに痛む場合が多いのではないでしょうか。
階段を下りるときに膝の内側か外側に鋭い痛みを感じる・膝に力が入りづらく感じる人や、長時間座った状態から立ち上がるときに膝に違和感が出たり、痛みを感じたりする人もいます。

階段の上り下りをするときや立ち上がるときに加え、歩行時に膝に痛みが出ることもあります。
歩行時は、歩き始めの足を踏み出したときに強い痛みを感じたり、長時間の歩行により次第に痛みが出てきたりするなど、痛みが出るタイミングはさまざまです。
膝を動かしていない状態であっても、夜になると痛みを感じたり、天候の変化によって痛みが出たりする人もいます。
このように膝の痛みといっても多くの症状があるため、痛みに対処するためにはまず「どんなときに膝が痛くなるか」を把握することが大切です。
2 膝が痛い原因とは
膝が痛い原因には、変形性膝関節症、半月板損傷、靭帯損傷、関節リウマチ、オスグッド病などさまざまな疾患が考えられ
ます。
なかでも「変形性膝関節症」は、自覚症状がある患者数が1,000万人、潜在的な患者数は3,000万人と推定され(1)、膝に痛みが生じる疾患のなかでも患者数が多い疾患であると言えます。
変形性膝関節症は加齢とともに患者数が増加傾向にあり、80歳以上の女性の約80%が罹患する(2)と言われています。
また患者の男女比は1:4と、女性に多く見られる(3)のも特徴のひとつです。
(1)参考:介護予防の推進に向けた運動器疾患対策について報告書|厚生労働省
(2)参考:変形性膝関節症 | 順天堂大学部医学部附属 順天堂医院
(3)参考:変形性膝関節症|日本整形外科学会
3 変形性膝関節症による膝痛の原因
変形性膝関節症で膝痛が生じる原因は、関節軟骨がすり減り、関節に炎症が起こることにあり
ます。
膝の関節は、大腿骨・脛骨・膝蓋骨などの骨、軟骨組織である関節軟骨・半月板に加え、大腿四頭筋・ハムストリングなどの筋肉と靭帯(前後十字靭帯・内外側副靭帯)から構成されています。
なかでも軟骨は骨と骨がぶつかり合ったときの衝撃を和らげるクッションのような役割を担っていますが、加齢とともに軟骨が徐々に減少して骨同士がぶつかり合うようになり、膝に痛みが生じてしまうのです。

また、膝に関連する筋肉の筋力低下も膝痛の原因となります。
特に重要な筋肉は、太ももの前面にある「大腿四頭筋」です。
大腿四頭筋は膝を曲げる動作を支える重要な働きをしており、大腿四頭筋が衰えてしまうと膝関節が不安定になって関節への負担が高まります。
その結果、足を下ろすときに膝関節に直接衝撃がかかってしまい、膝に痛みが出やすくなります。

4 変形性膝関節症の対処法
変形性膝関節症の対処法としては、以下の4つの療法があります。
・ 薬物療法
薬物療法は、痛みや炎症を抑えることを目的とした投薬治療です。
主に消炎鎮痛剤やヒアルロン酸の関節内注射が用いられます。
薬物療法は即効性があり、痛みがすぐに解消されるというメリットがありますが、膝関節症そのものへの根本的な治療ではなく、あくまでも「痛みを取り除くこと」に焦点を当てた症状緩和のための療法であると言えます。
・ 装具療法
装具療法は、サポーターや足底板(インソール)を用いた対処法です。
膝関節の安定性を高めることで、関節への負担を軽減する役割があります。
特に歩行時や立ち座りのときの痛みを軽減する効果があり、日常生活でよく行う動作で生じる痛みの改善に効果的です。
・ 運動療法
運動療法では、筋肉トレーニングやストレッチを行うことで大腿四頭筋をはじめとした膝関節に関わる筋肉を強化する療法です。
膝関節周りの筋肉を鍛えることで、スムーズな膝の曲げ伸ばしを目指します。
膝関節周りの筋肉を鍛えることは膝の機能維持や向上に寄与することが期待できるため、手術を必要としない対処法として優先的に用いられるケースがよく見受けられます。
・ 手術療法
手術療法は、保存的治療で改善が見られない重症例に対して検討される治療法です。
関節を人工のものに置き換える「人工関節置換術」や骨を切って形を矯正する「骨切り術」などがあり、変形した関節を外科的に治療することで痛みを取り除きます。
5 変形性膝関節症を予防する方法
年齢を問わず、膝関節周りの筋肉を動かして筋肉を強化することは変形性膝関節症の予防に有効です。
この章では、変形性膝関節症を予防するための筋トレとストレッチの方法を紹介していきます。
膝に負担をかけずに取り組めるよう、椅子に座ってできる簡単なメニューをピックアップしていますので、無理のない範囲で取り組んでみましょう。
ただし、痛みを感じる場合は無理をせず専門医に相談しましょう。
撮影協力:SIXPADオフィシャルトレーナー KENTA
筋トレ
筋トレにより膝関節への負担を軽減させることは、変形性膝関節症の予防に効果的です。
特に「大腿四頭筋」と「ハムストリング」は、膝の曲げ伸ばしに関わっています。
これらの筋肉は膝に加わる衝撃を吸収する役目を担っているため、鍛えることで膝への負担軽減が期待できます。
膝への負担が少ない筋トレメニューを紹介していますので、ぜひ取り組んでみましょう。
ただし、実践中に強い膝の痛みを感じた場合は無理せず中断してください。
■ ニーアップ
ニーアップは、主に腸腰筋・大腿四頭筋・臀筋群を鍛える筋トレです。
大腿四頭筋を強化することで膝を曲げるときの膝痛を予防でき、また体幹の筋肉である腸腰筋を強化することでより安定した歩行にもつながります。
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1.
椅子の背もたれから背中を離した状態で座る。
※手は椅子の座面を持って身体を安定させましょう。 -
2.
骨盤は真っすぐ立てた状態をキープし、片方の太ももを上げ下げする。
※太ももを上げるときは、お腹に近づけるイメージで行いましょう。 -
3.
交互に20~30回、3セット行う。
■ 内もものトレーニング
内もものトレーニングは、主に内転筋を鍛える筋トレです。
内転筋とは太ももの内側に位置する筋肉で、膝関節を内側から支えている筋肉のひとつです。
内転筋が衰えると、太ももを内側に閉じづらくなってO脚になるなどの変形をきたし、変形性膝関節症の発症リスクを高める危険性があります。
内もものトレーニングで内転筋をバランスよく鍛えることで関節の安定性が向上し、変形性膝関節症の予防が期待できるでしょう。
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1.
椅子に座り、足を腰幅程度に広げてボールやタオルなどを足の間に軽く挟む。
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2.
ボールやタオルを押しつぶすイメージで足を閉じる。
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3.
2を10回×3セット行う。
ストレッチ
変形性膝関節症の予防には、ストレッチで膝関節周りの筋肉を伸ばすことも大切です。
筋肉の柔軟性を高めることで膝の曲げ伸ばしがスムーズになって膝関節への負担が軽減され、変形性膝関節症の予防が期待できるでしょう。
特に大腿四頭筋やハムストリングの筋肉の柔軟性が衰えると、歩く・座るなどの日常生活の基本的な動作において膝関節に大きな負担をかけることになるため、習慣的に実践するようにしまし
ょう。
ただし、痛みが強い場合は無理にストレッチを行わず、専門医に相談しましょう。
■ 大腿四頭筋のストレッチ
大腿四頭筋のストレッチで膝関節の可動域を広げることで、膝の曲げ伸ばしや歩行をしやすい状態にして変形性膝関節症を予防しましょう。
ただし、変形性膝関節症を発症している場合は膝を曲げるときに痛みを感じることがあるため、もし強い痛みを感じた場合は無理をせずにできる範囲で実践するようにしましょう。
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1.
壁を支えに真っ直ぐ立つ。
-
2.
片方の足を曲げ、足の甲を掴む。
※太ももの前側に伸びを感じられるようにしましょう。 -
3.
2の状態を10秒~20秒キープする。
※2~3回繰り返し、反対の足も同様に行いましょう。
■ ハムストリングのストレッチ
変形性膝関節症の予防には太ももの前(大腿四頭筋)のストレッチだけでなく、太もも裏のハムストリングのストレッチも実践するのがおすすめ
です。
ハムストリングも、大腿四頭筋同様に硬くなると膝関節の動きに影響を及ぼし、変形性膝関節症のリスクが高まり
ます。
太ももの表と裏に位置する大腿四頭筋とハムストリングは、どちらも筋体積が大きな筋肉です。
どちらかだけを鍛える・ストレッチすると、筋肉のバランスが悪くなって膝痛や関節可動域の低下といった悪影響を及ぼす可能性があるため、大腿四頭筋とハムストリングは筋トレ・ストレッチともにどちらもバランス良く行いましょう。
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1.
椅子に座り、片方の足を前に出す。
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2.
上体をゆっくりと前に倒す。
※太ももの裏側に伸びを感じられるようにしましょう。 -
3.
2の状態を10秒~20秒キープする。
※2~3回繰り返し、反対の足も同様に行いましょう。
6 まとめ
本記事では、膝が痛い原因とその対処法、膝の痛みを予防する方法について紹介しました。
膝の痛みを起こしている原因としてはさまざまな疾患が考えられますが、膝関節を支えている筋肉を鍛える・ストレッチすることで、膝の痛みを予防することができます。
膝への負担が少ないトレーニングやストレッチメニューを紹介していますので、取り組みやすいものから実践してみてください。
もし生活に支障がある場合や悪化する場合は早めに整形外科を受診し、詳しい検査を受けることをおすすめします。
医師や専門スタッフへの相談を通じて、あなたの状態に合った適切な治療法や対策を見つけていきましょう。