ふくらはぎがつる
足がつる(こむら返り)の症状と原因
対処法や予防方法も解説
本記事では、足がつったときの症状や足がつる原因、対処方法を紹介していきます。
自分で取り組める予防方法も紹介しているため、足がよくつる方はぜひ参考にしてください。
ただし、改善しない場合は医療機関を受診し専門家の指示を仰ぎましょう。
1 足がつる(こむら返り)の症状とは
足がつる、いわゆる「こむら返り」の症状は、ふくらはぎの筋肉が突然強く収縮して痛みを伴うのが一般的です。
筋肉の収縮を伴う痛みは一過性の場合が多く、激しい痛みが長時間続くことはほとんどありませんが、こむら返りは突然起こる場合が多いことからその痛みを「我慢できないほどの激しい痛み」と表現する人も少なくありません。
医学的には、こむら返りのことを「有痛性筋痙攣(ゆうつうせいきんけいれん)」「筋クランプ」といいます。
2 足がつる(こむら返り)の原因とは?
足がつる(こむら返り)の原因には、筋肉の疲労、血行不良、ミネラルバランスの乱れが挙げられ
ます。
代表的な原因が、筋肉疲労です。
激しい運動などにより疲労した筋肉は硬直して痙攣(けいれん)を起こしやすくなり、足がつりやすい状態になります。
また、血行不良が原因で足がつることもあり
ます。
立ちっぱなし、座りっぱなしの状態が長時間続くと、血行不良に伴って筋肉の疲労につながり
ます。
足の筋肉は収縮することで心臓に血液を送り返すポンプのような役割を担っているため、ポンプ機能が低下すると血行不良につながり、足がつりやすくなります。
足の冷えに加え、運動不足や加齢などに伴う筋肉の衰えも、血行不良につながると言えるで
しょう。
筋肉疲労、血行不良に加え、ミネラルバランスの乱れも足がつる原因のひとつです。
ミネラルバランスの乱れは、体内の水分、ミネラルの不足から生じます。
汗や尿を排出することでナトリウムやカルシウム、カリウム、マグネシウムといった電解質が失われると、筋肉の収縮運動が正常に行われずに痙攣が起こりやすくなることがあります。
睡眠中に足がつる原因
睡眠中に足がつるのには、いくつかの原因が考えられます。
まず考えられる原因は、筋肉疲労です。
日中の仕事や運動で酷使された筋肉の緊張が残ると、睡眠中にこむら返りを引き起こすことがあります。
また、就寝前にトイレに行ったり睡眠時に汗をかいたりすることで水分やミネラルが排出されると、筋肉の収縮・弛緩に関わるカリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウムといったミネラルのバランスが崩れ、筋肉が過度に収縮してこむら返りを引き起こす可能性があります。
中高年で足がつりやすくなる原因
中高年で足がつりやすくなるのは、加齢による筋肉の衰えが挙げられます。
特に心臓に血流を送り返すポンプの役割を持つふくらはぎの筋肉量の減少は、血流が悪くなり、足がつりやすくなる原因につながります。
また、加齢に伴い筋肉も疲れやすく回復も遅くなるため、筋肉の緊張が長く続いて足がつりやすくなります。
冬に足がつりやすい原因
冬になると足がつりやすくなるのは、身体の冷えによる血行不良が主な原因です。
身体が冷えると血行が悪くなり、筋肉に十分な酸素や栄養が届きづらくなってしまいます。
そうすると筋肉の緊張状態が続きやすくなることから、足がつりやすくなります。
また、冬は夏の時期と比べて水分摂取量が減る傾向にあり、水分不足やミネラルバランスの乱れも、冬に足がつりやすい原因のひとつです。
3 足がつったときの対処法
この章では、足がつったときの対処法を部位ごとに紹介していき
ます。
急に足がつってしまったときにも冷静に対処できるように、あらかじめ対処法を理解しておきま
しょう。
ふくらはぎがつったときの対処法
ふくらはぎがつったときは、ふくらはぎにある腓腹筋(ひふくきん)を伸ばすことがポイントです。
足のつま先を手で自分のほうに引っ張り、ふくらはぎを伸ばしましょう。
立っているときにふくらはぎがつった場合も、座っているときと同様に足のつま先を自分のほうに引っ張ることでふくらはぎの筋肉を伸ばすことができます。
起き上がって、座った状態で足のつま先を自分の方に引っ張り、ふくらはぎを伸ばしましょう。
壁が近くにあるときは、足の裏を壁につけてふくらはぎを伸ばすのも、足のつりを治めるのに有効です。
太ももの裏がつったときの対処法
太ももの裏がつったときは、太もも裏のハムストリングを伸ばすことで対処しましょう。
つった方のひざをゆっくりと伸ばし、足首を手で持つように上体を折り曲げることでハムストリングを伸ばすことが
できます。
つった方の足を一歩前に出し、つま先を上げた状態で前屈をすることでハムストリングを伸ばすことができます。
椅子などの台が近くにあれば、つった方の足を台の上に乗せてハムストリングを伸ばす方法も効果的です。
寝ているときに太ももの裏がつった場合は、座ってつった方の足を前に出し、つま先を上げた状態で上体を折り曲げ
ましょう。
壁が近くにある場合は、ひざを伸ばし、足のかかとを壁につけた状態で上体を軽く起こすと、ハムストリングが適度に伸ばされて太ももの裏のつりが治まるでしょう。
足の指がつったときの対処法
足の指がつったときは、つった指を伸ばしたり、揉みほぐしたりするのが効果的です。
例えば足の小指がつった場合は、つった側と反対の方向に指を伸ばすようにしましょう。
また、小指のような小さな部位は軽く揉みほぐすようにつまむことも効果的です。
4 足がつらないようにするための予防法
足をつらないようにするために、簡単に取り組める予防法を紹介します。
日頃から運動やストレッチ、水分・ミネラルの補給、血行促進に取り組み、足がつりにくい身体づくりを心がけましょう。
以下で、予防方法を具体的に紹介します。
運動
足がつらないようにするためには、適度な運動が効果的です。
ウォーキングやランニングなどの有酸素運動には、血行不良や冷えからくる足のつりの予防が期待できます。
ウォーキングは、1日60分以上(1日約8,000歩以上)を目標に行いましょう(1)。
有酸素運動のほかに、筋力トレーニングも筋肉の衰えからくる足のつりを予防するのに有効
です。
加齢に伴い筋肉が衰えやすくなっている中高年の方は、筋力トレーニングも積極的に取り入れましょう。
当サイトでは、ふくらはぎの筋トレ方法を紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
ストレッチ
足がつらないようにするための予防には、ストレッチで筋肉を伸ばすことも大切です。
仕事で立ちっぱなし、座りっぱなしになるなど、長時間同じ姿勢でいると、足の筋肉が凝り固まり、血流が滞りやすい状態になります。
ストレッチは凝り固まった筋肉を適度に伸ばすことで筋肉の緊張を解きほぐし、血行を改善させることができるため、足のつり予防に役立つで
しょう。
足のストレッチ方法はさまざまですが、以下のストレッチは足裏~太ももの裏までを同時に伸ばすことができるためおすすめです。
-
1.
座った状態で、両足を前に伸ばす(長座の姿勢になる)。
-
2.
上体を前に倒しながら、足の指を掴んで自分のほうに向け、足の裏から太ももの裏を伸ばす。
-
3.
2の状態を10秒間キープし、これを3セット行う。
水分・ミネラル補給
水分・ミネラルを補給することは、血液の流れを良くして筋肉に必要な栄養素をスムーズに届けることにつながるため、足のつり予防に役立つでしょう。
人間の身体から1日に排出される水分量は約2.5リットルで、同量の水分を体内に取り込む必要があります。
2.5リットルの水分を補うためには、「食事から1リットル・体内生成から0.3リットル・飲み水から1.2リットル」が目安とされているため、1日に水やお茶を1.2リットル飲むよう心がけるといいでしょう(2)。
またミネラルは体内で作ることができないため、食事から摂取する必要があります。
ミネラルには、多量ミネラルの「ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン」微量ミネラルの「鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデン」があります。
魚介類・藻類・種実類・野菜に多くのミネラルが含まれているので、積極的に摂るようにしま
しょう。
(2)参考:熱中症環境保健マニュアル 2022|環境省
血行促進
足がつらないようにするための予防には、血行を良くすることも効果的です。
血行を促進するための方法はいくつかありますが、手軽に行える方法としては入浴がおすすめ
です。
身体の芯まで温めて血行を促進するには、38℃のぬるめのお湯の場合は25~30分ほど、42℃の熱めのお湯の場合は5分程度の入浴を目安としましょう。
長時間の入浴は体内の水分が失われてしまい、かえって逆効果になるおそれがあるのでご注意ください。
また、血行促進のためには身体が冷えないように日頃から対策を行うことも重要です。
冷房が効いた部屋では上着を羽織るなどの日常生活の冷え対策はもちろん、適度な運動やストレッチなども冷え対策としては効果的です。
特に足元が冷えやすい方は、寝るときにゆったりとした靴下を履くことで冷え対策ができ、足のつりを予防することができるためおすすめです。
5 まとめ
本記事では、足がつる(こむら返り)の症状とその原因について、足がつったときの対処方法や予防方法も交えながら解説しました。
足がつるのには、ご紹介したようにさまざまな原因があります。
足がつる原因に心当たりがある場合は、実践しやすい予防方法から取り組んでみてください。
また足がつったときは、落ち着いてご紹介した対処方法を実践し、足のつりが治まるように努めましょう。
頻繁に足がつる場合や違和感がある場合は、医療機関を受診しましょう。