ランニングの効果
ランニングの効果とポイント
日本ランニング協会認定ランニングアドバイザーが伝授
ランニングは、健康維持やダイエット、そしてストレス解消など、多くのメリットがある優れた運動です。
しかし、これらの効果を最大限に引き出すためには、正しい方法でランニングをすること、そして継続が欠かせません。
この記事では、日本ランニング協会認定ランニングアドバイザーが、ランニングを始めたい方や、すでにランニングに取り組んでいる方々に向けて、
効果的なランニング方法と、ランニングを長く続けるためのポイントを詳しく解説します。
1 ランニングの効果
ランニングをすることで、ダイエット効果やストレス解消、筋力の向上などさまざまな効果を期待できます。
ランニングを始める前にそのメリットについても把握し、より効果的にランニングができるようにしましょう。
ダイエット効果
ランニングを含む有酸素運動は、ダイエットに欠かせない運動のひとつです。
有酸素運動は、脂肪をエネルギーに変えることから体脂肪や血中LDLコレステロール、中性脂肪の減少が期待できます。
なかでもランニングは場所を選ばず手軽に始められることから、運動のスタートとしておすすめです。
ランニング中は糖と脂肪がエネルギー源として使われますが、その割合はランニングの強度によって異なり、一般的に強度が低いと脂肪を使う割合が増えると言われています。
また、運動後も身体を回復させるために代謝の向上は続き、ランニングで使われた糖を肝臓や筋肉に補填するため、より多くの脂肪が使われると言われています。
ストレス解消と脳の活性化
ランニングをすることは心のリフレッシュにもつながるため、ストレス解消にも効果的です。
近年の研究により、有酸素運動は認知機能を高めて気分を良くする効果があることが分かっています(1)。
ランニングで心拍数が上がると、全身はもちろん、脳への血流量もアップします。
また、運動をすることで脳由来神経栄養因子(BDNF)が増え、感情抑制や脳の活性化に繋がります(2)。
急に高強度や長時間のランニングを行う必要はありませんので、まずはご自身のできるペースや時間からチャレンジしてみましょう。
(1)参考:Damrongthaiほか(2021)「Benefit of human moderate running boosting mood and executive function coinciding with bilateral prefrontal activation.」 『Scientific Reports』 第11巻 1号
(2)参考:Yuichi Nishikawaほか(2024)「Influence of stimulation frequency on brain-derived neurotrophic factor and cathepsin-B production in healthy young adults」 『Journal of Comparative Physiology B』 第194巻
筋力や持久力の向上
ランニングをすることで、下半身の筋力と全身の持久力をバランス良く鍛えることができます。
走るときは特に、脚や臀部の筋肉を繰り返し使用することで筋線維が強化されるため、階段の上り下りなどの日常生活の動きやスポーツパフォーマンスの向上に役立ちます。
また、ランニングを続けることで心肺機能が強化され、酸素を体内へ効率的に供給できるようになります。
心肺機能が向上することにより運動時の疲労感が軽減され、より長い距離を無理なく走ることができるようになるでしょう。
免疫力の向上
ランニングをすることは、免疫力向上にも有効
です。
定期的な運動は感染症のリスクを下げることが確認されており、免疫力向上が期待できます(3)。
一方で、長時間・長距離のランニング後は疲労が溜まって一時的に免疫力が弱まると言われています。
免疫力が低下している場合は回復に時間がかかる可能性があるため、少しでも体調に異変を感じたときは走るのを控えましょう。
ランニング後は、免疫力を向上させる大きなターニングポイントになるので、しっかりと栄養を摂って十分な睡眠で身体を休めましょう。
(3)参考:David C Niemanほか(2011)「Upper respiratory tract infection is reduced in physically fit and active adults」『British Journal of Sports Medicine』 第45巻
睡眠の質の向上
運動習慣のある人には不眠が少ない(4)ことから、ランニングには睡眠の質を上げる効果があると考えられています。
激しい運動は睡眠をかえって妨げる可能性がありますが、適度なランニングであればその心配もありません。
また、日中に屋外でランニングをした際は、日光を浴びることで、脳の神経伝達物質のひとつで「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンが分泌されます。
セロトニンは夜になると睡眠ホルモンの一種であるメラトニンの原料となることから、ランニングは質の良い睡眠を得ることにもつながります。
(4)参考:快眠と健康習慣 | e-ヘルスネット
骨粗鬆症予防効果
ランニングをすることは、骨に刺激が加わって骨を強くし、骨粗鬆症などの疾患を予防することにもつながります。
骨は物理的な刺激を加えることでわずかな電流が骨に伝わり、強さが増すと言われています(5)。
骨粗鬆症予防には、カルシウムの摂取に加えてビタミンDを体内で合成するのに必要な日光を浴びることも大切なので、日中に屋外でランニングをするのが効果的です。
2 ランニングの効果はいつから出る?
ランニングの効果は、一朝一夕に現れるものではないため、継続して行うことが何よりも重要です。
ランニングの効果が現れる目安としては、実施頻度や目的などによって個人差はありますが、3か月程度が目安です。
運動前後の体重の差は発汗などによる体水分量の変化なので、走った前後で体重の変化を求めるのではなく、2~3か月単位で体重の変化を観察するようにしましょう。
3 効果的なランニング方法
この章では、効果的なランニングのために意識したいポイントを紹介します。
ランニングのフォームや距離はもちろん、ランニング前後のウォーミングアップなども意識して、効果的にランニングができるようにしましょう。
ウォーミングアップ
ランニングは全身の筋肉を使いたくさんの酸素を消費するため、ある程度強度が高い運動であると言えます。
そのためランニングをする前には、けがや事故を防ぐためのウォーミングアップを欠かさずに行いましょう。
徐々に身体を動かすことで全身の血流を増やして筋肉の温度を上げ、関節可動域を広げることでよりスムーズなランニングが可能になります。
ランニング前のウォーミングアップには、ジャンプや反動を利用し全身を大きく動かす「ダイナミックストレッチ」がおすすめです。
特に、ランニングの要となる股関節は十分にウォーミングアップを行うようにしましょう。
ランニングの距離や時間
まずは、無理のない時間や距離からスタートしましょう。
かつて有酸素運動は一定時間以上やらないと効果がないと言われましたが、少し身体を動かすだけでもホルモン分泌や多くの健康問題の予防と改善につながると言えます。
WHOのガイドラインによると、健康効果を得るためには週150〜300分の中強度の有酸素運動、75〜150分の高強度の有酸素運動、または中強度と高強度の身体活動の組み合わせによる同等の量が必要です(6)。
ランニングに慣れてきたら、上記の運動量を目指せるように時間や距離を増やしてみてください。
(6)参考:WHO身体活動・座位行動ガイドライン | WHO
ランニングフォーム
効果的なランニングのためには、正しいフォームで走ることも大切
です。
腰を反って胸を張りすぎないよう、頭を持ち上げるように意識して背筋を伸ばして走ることを意識しましょう。
緊張した筋肉は骨のポジションを歪めてしまうので、リラックスした状態でランニングをすることが重要です。
身体の左右のバランスを崩してしまうと関節への負担が大きくなるので、一本の線の上で地面をしっかりと踏み込むイメージで、重心移動を意識して走りましょう。
また、ランニングフォームに加えて呼吸も意識してみましょう。
呼吸の方法には特に決まりがありませんが、走るスピードに合わせて呼吸をすることが大切です。
初心者は息を吸うことに意識が向きやすいですが、ランニングに慣れてくると息を吐くことにも意識が向けられるようになり、体内のガス交換をより効率的にできるようになるでしょう。
クールダウン
ランニング後は、しっかりとクールダウンすることも大切です。
走った後はいきなり立ち止まらず、ウォーキングなどで徐々に運動強度を下げて心拍数を安静時の状態に近づけていき、心臓や身体をゆるやかに元の状態へ戻していきましょう。
また、痛みや疲れを感じるときは、ストレッチやアイシングなどが有効です。
ウォーミングアップには反動を利用し全身を大きく動かす「ダイナミックストレッチ」がおすすめなのに対して、クールダウンには反動を使わずゆっくりと筋肉を伸ばした状態を維持する「スタティックストレッチ」が有効とされています。
けがをしづらく、長期的にランニングが継続できる身体を作るためにも、アフターケアを心がけましょう。
4 ランニングを継続させるためのポイント
ランニングの効果を実感するためには、継続することが何よりも重要です。
走る目的を設定する、無理なく続けられる距離とペースで走るなど、ランニングを続けやすくなるように工夫をして取り組みましょう。
走る目的を設定する
ランニングを続けるためには、明確な目的を設定し、楽しみながら取り組むことが重要です。
ダイエットやストレス発散、健康維持など、自分に合った目標を持つことでモチベーションが高まり、ランニングを継続させやすくなるでしょう。
継続できる距離とペースで走る
無理をせず継続できる距離とペースでランニングをすることも、ランニングを継続するためのポイントのひとつです。
無理なく楽しみながらできるランニングの方法としては、LDSやトレイルランニングがおすすめ
です。
LSDは「Long Slow Distance」の略で、長い距離をマイペースにゆっくりと走る方法です。
観光スポットやカフェを仲間と巡るLSDも、ランニングを楽しみながら続けていくことができるでしょう。
トレイルランニングは足場の悪い地形を利用したランニングで、一般的には山道を走ることを指します。
足場が不安定になるため、足首の柔軟性や筋力の向上はもちろん、どこに足を着くか、どこを走るかという判断力や柔軟な思考を養うことにもつながります。
また、移り変わる景色を見ながら走ることで自然を満喫できるのは、トレイルランニングの醍醐味であると言えるでしょう。
しっかりと休養する
ランニングを続けるためには、しっかりと休養を取ることも大切です。
ランニングを始めると楽しさや達成感からつい頑張りすぎてしまうことが多いですが、頑張りすぎて燃え尽き、継続できなくなってしまっては本末転倒なので、適切な休養を取ることも意識しましょう。
ランニング後は筋肉や関節に負荷がかかっているため、回復のための時間を設けることも必要
です。
休養を十分に取らないと、疲労が蓄積して筋肉の損傷や関節の炎症、さらにはけがのリスクが高まります。
休養は、ランニングを長く続けるために欠かせない要素です。
ランニングをした後はしっかりと休養を取り、健康的なランニング習慣を築いていきましょう。
適切なランニングシューズを選ぶ
自分の足にあったシューズを選ぶことも大切
です。
ランニングはウォーキングに比べて足にかかる衝撃が大きく、その負荷は体重の3倍にもなると言われているため、シューズのクッション性や軽さなど、ご自身にあったシューズを選ぶようにしましょう。
ランニングシューズはさまざまなものがありますが、ランニング初心者や体重が重い方はソールが厚くてクッション性が高いものがおすすめ
です。
ランニング上級者で脚の筋力がしっかりと発達している方は、ソールが薄く重量が軽いランニングシューズを選ぶといいでしょう。
走ることでシューズはどうしても擦り減ってしまうため、長持ちさせるために2〜3足を履き回すのがおすすめです。
紐の締め具合や靴下の厚さなどは、走りながらご自身の感覚を大切にして調整するようにしましょう。
5 体幹を意識して、効果的にランニングをするなら「Powersuit Core Belt」
ランニングフォームに大きく関わる体幹を意識しながら走るには、「Powersuit Core Belt」がおすすめです。
Powersuit Core Beltは1回23分のEMS(筋電気刺激)トレーニング・プログラムが 腹筋、脇腹、背筋(下部)に同時にアプローチし、体幹を鍛えてくれます。
装着した状態でランニングをすることも可能なので、ランニングのときに姿勢や体幹を意識して走ることができるでしょう。
ランニングのとき以外でも、テレビを見たり本を読んだり「ながら」でトレーニングができるので、忙しい毎日で運動をする時間を作ることが難しい人に特におすすめです。
6 まとめ
本記事では、ランニングの効果や効果的なランニングの方法、ランニングを継続させるためのポイントを紹介しました。
ランニングはダイエット効果や持久力向上のほか、ストレス解消効果など心身ともに多くのメリットがあり、また場所を選ばず手軽にできることから運動初心者の方にもおすすめです。
ランニングの効果を出すには、2~3か月継続することが大切です。
ウォーミングアップやクールダウンなどで身体を整え、さまざまな工夫をして楽しみながらランニングを継続できるようにしましょう。
7 記事を書いた人
SIXPADオフィシャルトレーナー KENTA
1987年京都府生まれ。
14歳からプロレスラーを目指してジムに通い始め、学生時代にはアマチュアレスリングに
打ち込む。
2011年にプロレスリング・ノアに入門するも、怪我により選手デビューを断念。
しかし、フィットネスの魅力に目覚め、トレーナーとしての道を歩み始める。
現在は、SIXPADオフィシャルトレーナーとして活動しながら、トレーニング関連のライターとしても幅広く活躍中。
ランニングアドバイザーの資格を取得し、フルマラソン完走の経験を持つ。
さらに、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会認定パーソナルトレーナー(NESTA-PFT)、NESTAストレングス&パフォーマンススペシャリストなど、数多くの資格を保有。