新しい働き方として定着しつつある在宅勤務。通勤が不要になる、生産性が向上するなどメリットも多い反面、いつもと違う環境に、体に負担がかかり、不調を感じている方も多いのではないでしょうか。そこで本コラムでは、カイロプラクティックの専門家である大藤武治先生に、その原因や対策について解説していただきます。
実は在宅勤務は姿勢が
悪くなりやすい
理由その1
オフィスと自宅とでは机や椅子の高さが異なるため姿勢が歪みがちに。
また、ダイニングチェアはクッション性に乏しいものが多い為、長時間の使用は身体への負担が大きくなります。
理由その2
床に座って仕事をすると、横座りや片足あぐらなどの歪んだ姿勢を取るため、どうしても腰への負担が大きくなりがちです。
理由その3
ノートパソコンはモニターが小さく、覗き込もうと前のめりになるため、いつの間にか猫背になっていることがあります。
健康トラブルの原因は
姿勢にあり
姿勢の乱れはさまざまな健康トラブルを引き起こします。姿勢と身体には深い関係があるので、健康トラブルを抱えている人は、日々の姿勢を見直すことをおすすめします。
姿勢が悪いと身体に負担がかかる
腰への負担は、立っている時を100とすると、座った時で140、前かがみになると185にもなると言われています。
出典元:
※Alf Nachemson.「The Lumbar Spine An Orthopaedic Challenge」.Spine,1976
背中が丸い、身体が傾いているなど、悪い座り姿勢を続けていると、身体はどんどん歪んでいきます。普段やりがちな姿勢ですが、横座りや片方に体重をかける姿勢は身体に負担がかかります。
横座り
斜め座り
人間の頭は5kg、例えるならボウリングの玉くらいの重さがあります。正しい姿勢の時は頭をバランスよく支えていますが、猫背になってあごが前に出る姿勢は肩や首への負担が大きくなります。
姿勢が悪い時
姿勢が良い時
姿勢の悪さが
健康トラブルを引き起こす
腰への負担は、立っている時を100とすると、座った時で140、前かがみになると185にもなると言われています。
姿勢が悪いと、呼吸が浅くなり、集中力が低下しやすくなります。
健やかな暮らしは、
正しい姿勢から
まずは理想的な姿勢を知ることからはじめましょう。理想的な姿勢というのは、骨格や筋肉に過剰な負担がかからず、バランスよく身体を支えていることを言います。
正しい姿勢とは、耳・肩・腰が一直線になっている状態のことを指します。
正しい座り姿勢は、坐骨が座面に当たるように骨盤を起こしている状態。骨盤を起こし、左右の坐骨に均等に体重が乗るように前後左右のバランスをとることが大切です。
背中のS字カーブが安定していることで、約5kgもある頭をバランスよく支え、その負担を10分の1に軽減しています。姿勢が乱れてS字カーブが乱れると、歪んでいる部分に負担が集中して体のトラブルの原因になります。
カンタン姿勢チェック
姿勢が正しいかどうか、猫背になっていないかどうかは自分で分からないもの。
まずはセルフチェックで、自分の姿勢を確認してみましょう。
STEP.1
壁から30cmほど前に背を向けて立つ
STEP.2
そのままの姿勢で壁にくっつくように下がる
STEP.3
壁と腰との間にできた隙間をチェック
正しい姿勢はこのように、壁に頭、背中、お尻、かかとの4点が付いている状態で、
腰と壁の間には手のひら1枚くらいのスペースがある状態。
この姿勢が取れない方や、どこかにつっぱり感や違和感を感じる方は、姿勢が歪んでいる状態となります。
仕事の合間の
ストレッチも効果的
仕事の合間などにストレッチを行うことで、姿勢の歪みを整えることができます。また、猫背にならないように意識したり、骨盤周りの筋肉を鍛えることで肩こりや腰痛を防ぐことができます。
まとめ
正しい姿勢は在宅勤務を快適にしてくれるだけでなく、日常生活においてもさまざまなメリットをもたらしてくれます。腰の負担などの健康トラブルを未然に防ぐだけでなく、集中力アップや美しいボディラインの形成、健康寿命の増進などさまざまなメリットをもたらしてくれます。「肩や腰の負担を減らしたい」「姿勢美人になりたい」など、具体的な目的意識を持って姿勢改善にチャレンジして、健やかで快適な毎日を手に入れてください。
自宅はオフィスのように「働くための環境」が整っているとは言えません。机や椅子、モニターの違いなどが影響し、いつの間にか姿勢が悪くなってしまいがちです。